※神余くんの世界史あいらんど…河合塾世界史講師「神余秀樹」先生(吉崎の恩師)の“ちょっとdeepな”世界史をご紹介します。
★読書の秋の御案内:村瀬亨先生の最新刊
なじみの講師に英語の村瀬亨(むらせ・とおる)先生がいます。
河合塾生or元塾生の人なら「♪ハイホー・ハイホー……♪」(※)の「ドクター・マリオ!?」と言えば思い出す人も多いかも。
この度、ハイデガーの哲学の本を出版されるという話。少し前からお聞きしていました。
△村瀬亨『光と影 ハイデガーが君の生と死を照らす!』(島影社)
送られて来たのを拝見。思ってた以上の本格派。あ、こりゃ、読むのも、ちょと頑張ってみないと…。うーん。哲学、哲が苦? テ・ツ・ガ・ク……。単細胞な僕の脳ミソのキャパをいささか超越するページも続々…。
でも、さすがに予備校の教壇で永いキャリアを積んできた方と言うべきか、具体的なたとえ話も随所に織り込まれ、ハイデガーに至る人類の思索の足跡がたどられていく。
ソクラテス、プラトン、アリストテレス、セネカ、孔子、老子、荘子、エックハルト、モンテーニュ、スピノザ、シェリング、ニーチェ、西田幾太郎、他にも多々etc.
彼らにとっての「死」の観念や宇宙観が、縦横無尽に語られる。僕も「なるほど」の指摘も多々。村瀬さん、いつの間にこんな思考の蓄積を、と言うのは失礼だわ。改めてその博識には脱帽・敬服します。
ついでに、小松左京(『日本沈没』の原作者)、『男はつらいよ・寅次郎』、『時をかける少女』などの具体例もあちこちに満載。
僕が大変お世話になった芦川進一先生のドストエフスキー論にも言及されてます。
村瀬師を御存知の人も多いでしょうが、そうでない方も、どうぞ一度手に取ってもらえれば!
最後に。表紙のレイアウトが、めちゃカッコいい!持って歩くだけでサマになる?(か、どうかは、あなた次第。)
(※注)村瀬師との縁と言えば、忘れられないのが以前、「中国・開封(ハイフォン)」に行くとかで「♪ハイフォン、ハイフォン♪」と、講師室で御機嫌の師に、「開封といえばユダヤ人ゲットーがあったはずで」と、現地調査をお願いしてしまった。(当時は、僕もイスラエル現地に行き、クムランの洞窟やパレスチナ占領地の状況を見てきた直後で、「中国の猶太」にも本当に興味があったため)。村瀬師は僕の雑談ついでの無理難題を覚えてくれていて、もはや閉鎖されて久しく誰も訪ねることのない開封シナゴーグ跡地の、服務員に頼んで立入禁止の鎖を解除してもらって、関連する遺品を持ち帰って頂きました。その節は誠に有難うございました。
〈神余秀樹先生プロフィール〉
1959年、愛媛県に生まれる。広島大学文学部史学科卒。民間企業勤務などを経て受験屋業界の“情報職人”となる。あふれる情報の山に隠れた“底の堅い動き”。“離れて見ればよく見える”。さらに“常識から疑え”。そんな点も世界史のすごみかと思う。
目標は「難しいことを易しく、易しいことを深く、深いことを面白く」。学校法人河合塾世界史講師。
【著書】
『神余のパノラマ世界史(上・下)』(学研プラス、2010初版・2015改訂版)
『世界史×文化史集中講義12』(旺文社、2009)
『超基礎・神余秀樹の世界史教室』(旺文社、2018)